第32回受賞作品 [一般の部]

 今回の出品数は昨年度よりやや減少しましたが、ユニークな発想の作品が多かったように思います。ユーモアというテーマは抽象的でやや難いのではないかと思っていましたが、受賞作品11点中8点はテーマ作品でした。楽しく笑顔が溢れるということは、どのように時代が変わろうと、普遍的で大切なことだと再確認いたしました。入賞者の内訳を見ますと、なんと60歳以上の方が7名です。人生経験の重みのパワーを感じます。一方で、2点入賞した若い学生さん達の作品のレベルも上がってきたように感じます。今後、更に多くの若い方々の挑戦を期待したいところです。年齢的に中堅の受賞者はやや少なく感じられました。仕事が忙しいことや、IT化による手作業の減少などにも一因があるのかもしれません。この公募展は、審査員が一部交代しています。永らく審査委員長を務めてこられた小黒三郎先生には深く感謝申し上げたいと思います。また、ご逝去されました日野永一先生には深い哀悼の意を捧げたいと思います。次回のテーマは「転換」です。色々な意味で転換期を迎えている本公募展には相応しいテーマだと思います。多くの方々が自由に発想し、「転換」からインスピレーションを得て挑戦していただきたいと思います。

名古屋女子大学教授 渋谷 寿

グランプリ

作品名 / 新種発見!葉っぱの標本(3部作)
氏名 / 熊野 聡(宮城県仙台市)
使用樹種 / シカモア、クロガキ、パドック、他多数

【作者コメント】
 自然の色と杢目を生かして制作したおもしろおかしな葉っぱの標本です。標本箱には音が出るように仕掛けがしてあり、オルゴールとしても楽しめます。
見て聴いて、触って会話して五感を使って体感してみましょう。誰もが笑顔になること間違いなしです。

【講評】
 とにかく美しい、完成度の高いプロの技を思わせる3組の作品です。植物の葉っぱをテーマに、「おもしろおかしな葉っぱ」という発想がユニークで、不思議な葉っぱが大変精密に仕上げられています。確かに、それぞれの葉っぱの名前を見ると、ユーモアのセンスが伺えます。また、音の出る工夫が3種類とも異なり、発見した時の驚きや楽しさを呼び起こします。作者のユーモアを取り込んだ、造形への思い入れの深さを感じます。また、額縁の背景や縁の色の配色も見事です。塗装の仕上げと、各葉っぱの名札のデザインはもう少し工夫すると更に完成度が高まるでしょう。

名古屋女子大学教授 渋谷 寿

準グランプリ

作品名 / 回れ 回れ
氏名 / 冨田 一男(山口県下関市)
使用樹種 / ヒノキ、カツラ、マホガニー他

【作者コメント】
 手に持ってハンドルを回し、回転する 「ウッドマン」「ボックスマン」「イエローキャット」「レインボーにわとり」の動きを楽しんでください。
どなたも自由にさわってください。

【講評】
 ハンドルを回すと輪ゴムの伝導で動物が回転するシンプルな動きに可愛らしさを感じる作品で、くにゃりと動く体型の姿に思わずニコッとしてしまう。糸鋸ミシンとカービングを駆使した造形的に可愛いデザイン、カラーリングしてあることで可愛らしさも倍増。ユーモラスという今回のテーマを上手く表現できていると感じた。動物の動きを見ながらハンドルの回転数を調整して面白い体型を発見する楽しさがある。 動物の一部が輪ゴムに接触して動きが止まることもあるが調整でなんとかなるだろう。ハンドルを回すと輪ゴムの伝導で動物が回転するシンプルな動きに可愛らしさを感じる作品で、くにゃりと動く体型の姿に思わずニコッとしてしまう。糸鋸ミシンとカービングを駆使した造形的に可愛いデザイン、カラーリングしてあることで可愛らしさも倍増。ユーモラスという今回のテーマを上手く表現できていると感じた。動物の動きを見ながらハンドルの回転数を調整して面白い体型を発見する楽しさがある。
動物の一部が輪ゴムに接触して動きが止まることもあるが調整でなんとかなるだろう。

プロダクトデザイナー 中井 秀樹

優秀賞

  丹波市長賞 夫婦柿(苦労柿) 山根 亮二(兵庫県朝来市)

  丹波市議会議長賞 おさんぽカモさん 久保 進(神奈川県伊勢原市)

  丹波市教育長賞 洗濯はさみ虫 佐藤 敏男(埼玉県鴻巣市)

新人賞

  (公財)兵庫丹波の森協会理事長賞 Baum(バウム) 吉澤 知恵(千葉県船橋市)千葉大学大学院

特別賞

  三木工業協同組合理事長賞  信州そば処 土屋 彰人(長野県長野市)

佳作

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 ゴーゴーあひるママ! 藤巻 茜音(石川県金沢市)金沢科学技術大学校

  丹波の森ウッドクラフト展 実行委員長賞 ひととき 津田 敏幸(兵庫県加古川市)

  丹波の森ウッドクラフト展 実行委員長賞 ゲタ 関 哲也(長野県北佐久郡)

学生賞

  丹波市製材協会賞  Wooden Planets 藤森 直輝、本田 睦、大高 理穂子、YANG PEIYUAN
(千葉大学 融合理工学府 創成工学専攻 デザインコース)


出展作品数は84点(内テーマ作品数は34点)、出展者数は80名


審査員

  【審査委員長】 渋谷 寿  名古屋女子大学教授
    中井 秀樹  プロダクトデザイナー
    水上 喜行  大阪教育大学名誉教授(50音順)