第10回受賞作品 [ジュニアの部]

審査総評

 昨年までと比較すると、今年のジュニア部門の応募者数はやや少なくなったのが残念です。しかし、本当の意味での自分の作品が、少しずつですが増えてきているのは、心強く感じます。
 作品を作るとき上手に作ることは大切なことです。でもそれよりも、自分の身の回りの生活を見回して、こんなものがあったら楽しいなというテーマを探し、大人のまねではない自分のアイデアで、工夫しながら自分の手で作り出す。そのことがもっともっと大切なのです。ですから、もう半分でき上がっているキットを組み立てたり、お手本の通りに作るという作品は、本当の意味での自分の作品とはいえません。手の技術だけでなく、自分の知恵や心のこもった作品こそ、本当の自分の作品なのです。
 また、高い立派な材料を使ったから、よい作品が出来るとは限りません。自分の身近な材料の中から、その形や材料の性質を見つけ出し、イメージをふくらませて作品にまとめあげる。これは木材をはじめとして、自然が生み出した素材の命を引き出すことでもあるのです。
 ものを工夫して創造するということは、簡単なことではありません。でも、そこには本物の楽しさと喜びがあります。私たちは一人でも多くの人に、この楽しさと喜びを味わってもらいたいと願っています。

大賞

作品名 / やじろべぇ大サーカス
氏名 / 兵庫県 西宮市立瓦木中学校 美術部

【作者コメント】
 やじろべえ。私たちが小さい頃にしかなじみのなかったそれを応用し、サーカスの場面をつくりました。動きが不思議でおもしろいです。

【講評】
 皆の力を合わせての共同制作ですが、大きさや色調などに統一感が感じられます。糸ノコでていねいに作られた人物や動物をよく見ますと、表情や動きが一つ一つ個性的で、たいへん楽しいものとなっています。

最優秀賞

作品名 / ゴロゴロ木ダック
氏名 / 金城 秀和 (宮崎県立都城工業高等学校3年)

【作者コメント】
 私がマスセットを作ろうと思ったのは、幼児と遊んだりするのが好きだったからです。

 そして私は、木馬を作ることにしました。木馬の重さを軽くするために中を空洞にし、前後一緒にすると前方には頭部をつけるので、バランスをとるように空洞の形を工夫しました。そして、その空洞に直径6cmの鈴を2個人れ、幼児が前後にずらすとゴロゴロと大変良い音がします。それで作品名を「ゴロゴロ木ダック」と名付けました。最も苦心したところは頭、首、胴体の接合の仕方でした。

【講評】
 子どもが遊ぶのに危険がない丸い形で、バランスもうまく取れ、揺れる度に中に入った鈴が響きます。木工機械を用い、専門の学校での勉強の成果を生かした作品ですが、木の美しさも生かされています。

優秀賞

    いろいろぶどう園  竹本 良 兵庫県 香寺町立香呂南小学校4年
    少年と巨大魚  三澤 啓吾 神奈川県 寒川町立寒川東中学校1年
    すずしいのれん  野村 佳代 兵庫県 三田市立松が丘小学校6年

奨励賞

    動物園  足立 彩 兵庫県 氷上町立西小学校2年
    のれん  陣在 沙耶香 兵庫県 浜坂町立浜坂小学校3年
    森のオルゴール  柿原 康弘 兵庫県 春日町立黒井小学校4年
    木の家  井上 康太 兵庫県 浜坂町立浜坂小学校4年
    輪ゴムでっぽう遊びセット  荒井 淳之 兵庫県 香寺町立香呂南小学校6年

アイディア賞

    回転開閉ケース  柴田 薫 京都府立東宇治高等学校2年
    わしみみずく  長田 晃 兵庫県 神戸市立港島小学校5年
    SUN FLOWER 向日葵  渡邊 修子 神奈川県 寒川町立旭が丘中学校3年

特別賞

    間伐材を利用した筆箱Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ  池田 明宏・熊倉 仁・鈴木 茂弘 埼玉県立大宮ろう学校高等部2年
    輪のついた杓子  岩井 崇明・木波本 和彦・長谷 孝一・前田 憲治・前本 麻有・八代醍 洋美・山本 浩貴 兵庫県 加古川市立山手中学校2年



審査員

    兵庫教育大学教授  日野 永一
    造形デザイナー  大野 巳喜男
    日本玩具博物館長  井上 重義
    東北工業大学客員研究員  山崎 純子