第24回受賞作品 [ジュニアの部]
審査総評
今年も沢山の子どもたちの作品が集まりました。総数で217点です。しかし残念なのは昨年より出品点数が2割減です。事務局の皆さんも広報にも努力くださり、1点でもたくさんの作品が集まるよう工夫をされているのですがなかなか集まってきません。裏返せば子どもたちが自然素材である木を材料に道具を使って物を作る、その環境や状況が年々厳しくなってきていることの証明ではないかと思います。
沢山の作品が集まったとはいえ、その多くが既成の材料などをボンドなどで留めただけの安易に作られた作品が目に付きます。削ったり釘で止めたりという作品が少ないのです。本来、子どもたちはモノを作るのが大好きです。モノを作る中で材料の性質や道具の使い方を知り、モノをつくる喜びや楽しさを知り、工夫する心や創造性を養うのです。それが将来の大きな力につながると思います。そのためにはモノを作る環境や時間の確保が必要で、それは大人の肩にかかっています。それがないと応募者がますます減少するだけでなく、ものづくり大国と呼ばれたこの国の将来も心配です。
ジュニアの部審査委員長 井上 重義
(日本玩具博物館 館長)
グランプリ
作品名 / ローラーすべりだい
氏名 / 岩谷 優太朗(姫路市立花田小学校 6年生)
【作者コメント】
ローラーを1本、1本穴あけから軸を固定し、はめこみ・・・と、根気のいる作業だった。 動く工夫をとり入れた作品に挑戦し、試行錯誤を重ね、作るのが楽しかった。
【講評】
審査会場を一覧したとき、まず目に留まった作品でした。実寸以上に大きさを感じ、どっしりとした重量感や安定感もあります。自然木をうまく利用してしっかりした支柱を造り、滑り台の床面は大変手の込んだ細工がしてあり、苦労の後が伺えました。人形も、転んだり飛び出したりせずに滑りやすいよううまく出来ていて、スピード感のある楽しい遊び道具になりました。中・高校生になってもぜひ木工を続けてほしいと切に願うところです。
磯尾 隆司(彫刻家)
準グランプリ
作品名 / トーテムころりん
氏名 / 髙橋 泉(東京都立工芸高等学校 3年生)
【作者コメント】
つみ木のように、自分で組み立てて遊ぶビー玉転がしです。自分の好きなようにルートを変えて遊ぶことができるので、バラバラにして何度も楽しむことができます。
ビー玉をころがすレールの長さ、本数を決める時はとても悩みましたが、先生と何度も相談して決めました。丸棒にドリルで穴をあける時に、中心に穴があかなくて大変でした。レールの長さを何種類か作って、長さがあわなくなるような事がないようにしました。
【講評】
ビー玉を転がして遊ぶものは古くからわが国だけでなく世界中にあり、今も子どもたちに人気です。しかし多くは流れが固定されたもので、これはビー玉が途中で落ちないようレールの配置を工夫しながらゴールまで玉を遊びます。落ちないように流れを作るのに結構頭を使いました。残念なのは高さが低いことです。高さがもっとあれば、落ちる時間も長くなり、流れを工夫する楽しみがさらに増えたのではないでしょうか。
井上 重義(日本玩具博物館 館長)
準グランプリ
作品名 / フクロウの森IV
氏名 / 大阪府立修徳学院 第3寮(中1~3年)
【作者コメント】
カツラ角材をノコギリやベルトサンダーを使って球形につくってそれからフクロウを作っていきました。彫刻刀をつかって彫っていったのですが、これまでそういう作業をしたことがなかったので難しかったです。フクロウをテーマにしてこれまでもいくつかの作品をつくりましたが、全寮制の学校で生活している自分たちをモデルにしています。
【講評】
四角い材料を削って丸くする。一見、単純なようで実は根気と難しさが備わった作業によって作品が出来上がっています。同じ制作方法を利用しながらも、それぞれに表情が異なり「作り手の個性」と「同じではない良さの集まり」を感じます。彫刻刀の彫り跡もアクセントとなり暖かさの中にシャープさを感じる作品群となっています。
大前 勝彦(三田市中学校美術部会員)
優秀賞
丹波市長賞 「ハンドルまわそう」くるくるマシーン2号 すくってガラガラしてみよう 足立 雄飛(丹波市立北小学校 4年生)
丹波市議会議長賞 あなたが眠りにつくまえに 朝倉 憩、阿部 央歩(東京都立工芸高等学校 3年生)
丹波市教育長賞 アナモルフォーシス「鏡の中の赤ずきん」 西宮市立今津中学校美術部(1~3年生)
特別賞
三木工業協同組合理事長賞 くまさんちょきんばこ 森 優樹、石田 佑樹、小磯 渓、新井 希実、池 由美、神田 由輝、安田 拓海
佳作
丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 宇宙戦艦ヤマト 松井 竜輝(丹波市立東小学校 3年生)
丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 白かばファミリー 東郷 旅人(姫路市立花田小学校 3年生)
丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 森の出口 由良 天真(丹波市立黒井小学校 3年生)
学校賞
(公財)兵庫丹波の森協会理事長賞 三田市立あかしあ台小学校
出展校数:20校 / 出展作品数:217点
審査員
【審査委員長】 日本玩具博物館 館長 井上 重義
彫刻家 礒尾 隆司
三田市中学校美術科教諭 大前 勝彦