第25回受賞作品 [ジュニアの部]

審査総評

 今回で、ウッドクラフト展(ジュニアの部)は25回目を迎えます。前回よりも出品数が増えたことは、すごいことであると痛感しています。今年の傾向としては、素材の持つ自然な形状を利用した作品が目につき、反面、色使いのカラフルな作品も多かったです。普段の生活の中でも、色彩が溢れていますが、作品を見ていく中で、思い切って、木の素材の持つ暖かなシンプルさを表現されても良いと思いました。また、新しく、多くの出品者が増えたことは好ましい状況です。学校の内外においても、ものづくりに親しむことは、たくさんの時間と、エネルギーを必要とします。道具を使うことへの経験が不足しがちな生活の中においても、眼前の、たくさんの作品を眺めながら、将来を担う若い世代に熱意と頼もしさを感じました。

三田市中学校美術科教諭 大前 勝彦

グランプリ

作品名 / ウッドギアトレーラー
氏名 / 安野 聖也
(埼玉県立特別支援学校 大宮ろう学園高等部 産業工芸科 3年生)

【作者コメント】
 トラクターの部分と、トレーラーの部分を切り離すことができる「おもちゃ」です。トレーラーをつなぐところについている水平ピンを引き抜くことで、トレーラーをトラクターの部分から切り離すことができます。トラクターを切り離す時は、トレーラーの部分についている支柱を地面に接地させる必要があります。接地させる方法は、荷台についているストッパーを動かし、さらに荷台についている垂直ピンを下に降ろすことで支柱を接地させることができます。また、バンパーを手前に引き抜くと、運転台を持ち上げて、エンジン部分を見ることができます。純和風建築が専門の県内トップクラス技術を誇る加須市内の工務店さんから頂いた貴重なカナダヒバの端切材を使い、製作しましたが、ヒバの加工のしやすさ、光沢、仕上がりの美しさを学ぶことができました。

【講評】
 一部分を除き、すべてが木質で構成されており、また、動きも仕上げもスムースで、非常に完成度の高い作品となっています。しかしながら、工作の確かさ以上に、運転台を持ち上げると、大きな歯車のあるエンジン部分を覗けたり、ドライバーが居たり、トレーラーを取り外せたりと、遊ぶ要素も満載され、思わず動かして遊びたくなるすばらしい作品です。
三田市中学校美術科教諭 大前 勝彦

準グランプリ

作品名 / りす
氏名 / 大槻 陽大(丹波市立黒井小学校 6年生)

【作者コメント】
 ぼくは、のこぎりでどう体をきれいにきるところとかを工夫しました。真っすぐに切らないとグラグラして立ちません。特に、頭の部分を取り付ける時には、前後のバランスの良いところに固定しない と倒れてしまうので難しかったです。

【講評】
 丸い丸太と細い枝をビス止めしただけの簡単な作りですが、重量感と存在感は審査会場でひときわ目だっていました。顔と首だけが削られて木肌が見えていますが、鋸跡のけばだちや首の部分の荒い削りが、かえって皮付きの部分との対比を心地よく感じさせています。表情もユーモラスで、単純な形なのに今にも動きそうな、何かしゃべりかけてきそうな生命感を感じました。手と足の形にもうひと工夫あれば、さらに動きのある作品になったと思います。
彫刻家 磯尾 隆司

準グランプリ

作品名 / ブラックキュレム
氏名 / 松井 竜輝(丹波市立東小学校 4年)

【作者コメント】
 ブラックキュレムの顔やはねをかくのがむずかしかった。 お父さんといっしょに1番すきなブラックキュレムができてよかった。 くみ立てもがんばった。

【講評】
 板を張りあわせるだけではなく、どの方向から見ても立体的に見えるように、細かな部分削ったりして、造形物が持つ「まるみ」をうまく表現しています。素材は、決して軟らかくはなかったはずです。丁寧に時間をかけて満足のゆく作品が出来たのではないでしょうか。着色することにより、木目などの木の持つ表情は隠れてしまいましたが、この作品は色も大切だったのですね。
三田市中学校美術科教諭 大前 勝彦

優秀賞

  丹波市長賞  Car in car  田口 雪子(東京都立工芸高等学校 3年生) 
  丹波市議会議長賞  トラックUFO号 新井 昇久(埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園高等部 産業工芸科 2年生) 
  丹波市教育長賞  ユラクルバードくん  西宮市立今津中学校 美術部(1~3年生)

特別賞

  三木工業協同組合理事長賞 「ハンドルまわそう」くるくるマシーン3号 下までうまく転がそう  足立 雄飛(丹波市立北小学校 5年生)

佳作

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  みんなの町  兵庫県立氷上特別支援学校 高等部社会コース
  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  動物親子の組み木絵  鳥取県日野町立根雨小学校(6年生)
  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  鳥のおしろ  川中 波(三田市立あかしあ台小学校 2年生)

学校賞

  (公財)兵庫丹波の森協会理事長賞 愛知県立起工業高等学校


出展校数:22校 / 出展作品数:220点


審査員

  【審査委員長】 日本玩具博物館 館長  井上 重義
    彫刻家  礒尾 隆司
    三田市中学校美術科教諭  大前 勝彦