第30回受賞作品 [ジュニアの部]

審査総評

 彫刻制作を本業としている私は、日常的にあたりまえのように粘土をひねったり、木を削ったりしています。プロですのでうまくいかずに苦しいことの方が多いですが、粘土をさわったり、木を削ったりすることは、大変楽しく、心地良いものです。
 今の子どもたちはその機会がどんどん少なくなっているようで、情緒を培っていく上でも大きなマイナスだと思います。
 さて、今回の応募作品ですが、全体的に木の質感を生かした作品が多く、キットを利用した作品もほとんど見られなくなり、このコンクールの趣旨が理解されて来たことを実感しました。大作、力作も多くあり、入賞作品の選定には大変時間がかかりましたが、それは喜ばしい苦労でもありました。
 一方で少し残念だったことは、既成のゲーム機をまねた作品や、古くからあるおもちゃをアレンジした作品もあり、そういった作品は力作でも入賞とはなりませんでした。単なる技術だけではなく、個性や独自性が光る作品を目指していただくことを期待します。

ジュニアの部審査員長 彫刻家 磯尾隆司

グランプリ

作品名 / DreamStarsExpressYard
(ドリーム・スターズ エクスプレス ヤード)
氏名 / 内山 堅心(3年)、黒滝 勇水(3年)、細村 秋(3年)、高橋 幸也(2年)、荻野 美唯菜(1年)、野﨑 真未(1年)
(埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園高等部本科Bコース)

【作者コメント】
この「おもちゃ」は、昔の梅小路車庫を参考にして作りました。「魚」や「うさぎ」が蒸気機関車や新幹線を運転するというイメージで屋根の上に乗せました。「うさぎ」の耳はエンジュの木を煮て、電子レンジで加熱して、さらにプレスして作りました。車庫の壁や蒸気機関車の石炭は、2年前収穫した松の実を乾燥させて使い、草は、鉋屑を使って表現しています。方向転換する回転台も回すことができます、3年間かけて1つ1つ手作りしました。

【講評】
初出品以来、常に上位入賞をされている実力校です。この学校の作品には、特色が3つ有ると思います。重量感のある造形、ニスによる美しい仕上げ、そしてカンナくずや木の皮などを利用した質感の表現です。今回の作品も、これらの要素をすべてうまく融合させ、どこから見ても美しく仕上がっています。6名の共同作業で、それぞれ個人の特色を出しながら、それがバラバラにならず、うまくまとまっていると高い評価を受けました。
彫刻家 磯尾隆司

準グランプリ

作品名 / きょうりゅうのたたかい
氏名 / 大森 春菜(丹波市立南小学校 1年生)

【作者コメント】
小さい木をはるのがむずかしかったです。顔をかっこよくできるようにがんばりました。

【講評】
端材を貼り合わせて作った恐竜の、量感や質感が大変良く表現されています。顔の表情、歯を見せながら開いた口など恐竜の恐ろしさがよくあらわされ、足の構え方にも力強さが感じられて感心しました。恐竜のからだ全体のバランスばかりでなく、2匹の配置の位置関係など、全体の構成力にも優れたものがあります。恐竜が発見された丹波の地にふさわしい題材の作品で、お母さんのアドバイスを受けながら、夢中になって作品の制作に取り組んでいる春菜さんの姿が想像できて微笑ましくなりました。
兵庫教育大学名誉教授 日野 永一

準グランプリ

作品名 / ミニウッズのやかた
氏名 / 藤本 朋花(加東市立社小学校 5年生)

【作者コメント】
家を作るようなかんじで組み建てるのがとても楽しかったです。自分ならここに住みたいなと思いながら作りました。長い柱をまがらないように建てていくのがすごくむずかしかったです。ミニウッズのやかたをぜひのぞいてみてください。ミニウッズはみなさんがのぞいてくれることを楽しみに待っています。

【講評】
作っている様子がうかがえる様な楽しい作品です。作りながらイメージがさらにさらに広がっていき3階建てになったのでしょうか?木の輪を利用した壁もウロコのような雰囲気が出ていますし、木の持つ素材感をしっかりと利用できています。屋根も取りはずすことができ遊べる工夫もあり、中の人形たちも素朴な感じで、「さあ、我が家にようこそ」と声が聞こえてきそうな素敵なハウスができました。
三田市中学校美術科教諭 大前 勝彦

優秀賞

   丹波市長賞  ゆらゆらつみ木 祖父江 七海(愛知県立起工業高等学校 2年生)
   丹波市議会議長賞  曲がっタナー 高橋 和馬(神戸市立塩屋中学校 3年生)
   丹波市教育長賞  ジャングルパーリー 恵木 亮平、小島 歩の実、板子 寛奈、荒川 理子(名古屋市立工芸高等学校 3年生)

特別賞

  三木工業協同組合理事長賞 雪をぶっ飛ばせ!!除雪車!!  坂田 大樹、奥山 智之(埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園高等部産業工芸科 2年生)

佳作

   丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  二つで一つ ゴロゴロダブルコースター  足立 彩樹、足立 健太朗(丹波市立北小学校 6年生)

   丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  聴こうか、叩こうか、入れようか、動かそうcar  小川 裕加(愛知県立起工業高等学校 2年生)

   丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  木の兵隊  岡田 侃之(神戸市立本山南中学校 3年生)

学校賞

  (公財)兵庫丹波の森協会理事長賞  若狭町立上中中学校 芸術部

館長賞

  兵庫県立丹波年輪の里館長賞 跳び箱型物入れ  井上 桃華(神戸市立雲雀丘中学校 1年生)


出展校数:30校 / 出展作品数:111点


審査員

  【審査委員長】 彫刻家  礒尾 隆司
    三田市中学校美術科教諭  大前 勝彦
    兵庫教育大学名誉教授  日野 永一