第32回受賞作品 [ジュニアの部]

審査総評

 令和最初の年に、今年で32回目の開催の歴史ある素晴らしい「丹波の森ウッドクラフト展」の審査会に初めて参加させて頂きました。
 酷暑の中、皆さんが構想から設計・制作にかなりの労力をかけた末の力作と出会うことにワクワクしていました。そして、木を素材としたぬくもりのある工芸、木工芸、木彫や遊び心を感じさせる作品は、中学技術科の授業で制作している作品とは少し違っていることも楽しみでした。
 実際、応募作品を見ると低学年の児童が発想豊かに表現し、木の素材を生かし規格内ギリギリの迫力あるものを制作し目立っていました。全体を見ると年齢や個人とグループでは加工精度の差はありますが、発想や木のぬくもりを生かすこと、遊び心のあるおもちゃの作品、廃材を使い時間をかけて手作業で制作したものには、年齢など差がなかったように思います。
 これからも、ものづくりを通して想像力豊かに独創性を求め、自分だけのオリジナル作品を探求してもらえば嬉しいです。

前西宮市中学校校長 岡本 悦司

グランプリ

作品名 / 十二しのゆらい
氏名 / 大森 春菜(丹波市立南小学校 3年生)

【作者コメント】
 神さまからお手紙をもらった動物たち。
 一年間の動物の大しょうになりたくて急いで神さまの所に集まった《十二し》の動物たち。台を作るのに初めてジグソーを使いました。だいじょうぶ。

【講評】
 圧倒的な存在感と遊び心を感じる作品であり、スケールの大きさから長期間にわたって作り上げられたことがうかがえます。
 昔話の「十二支の由来」を題材にして端材やおがくず、木球、木の実など多様な素材を適所に効果的に使って仕上げており、その表現力や創造力には驚かされます。
 前回に続き二度目のグランプリ受賞ですが、更にグレードアップした作品に子どもの可能性は無限大であることを感じさせられました。今後も創作活動を続けていただくことと、それが更に将来へと繋がっていくことを願っています。
玩具作家 濱田 昭文

準グランプリ

作品名 / 森からのミュージック
氏名 / 齋藤 優太、佐々木 智哉、浅田 龍也、河野 心、田村 真里奈、保木 利仁、柴崎 海翔、奈良 好伸、山田 直人、渡辺 遥輝、綿引 海斗、新井 陸、黒川 勝也(埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園高等部産業工芸科 1~3年生)

【作者コメント】
 この作品は、産業工芸科13名が力を合わせて作った組作品です。「ウサギさん」を固定した土台部分の厚板は、太い柱を手鋸で縦挽きして木取りしましたが、心材部分でしたので、硬くて鋸挽きは本当に大変でした。
 ウサギさん達4匹がギターやピアノを演奏し、その後ろでは、4人の歌手兼ダンサー(人体模型)が演奏に合わせて楽しく歌い踊るというイメージで作りました。ウサギさんの耳や手は曲げ木加工です。
 銘木を使うことで、仕上がりが美しく、木材加工の楽しさを十分に感じることができました。

【講評】
 すっかり上位入賞の常連となった同校ですが、今回も13名の共同製作による群像大作での入賞となりました。
 前列には同校の特徴であるなめらかな曲面と、ニスによる美しい仕上げの楽器を弾くうさぎを、後列には近年見るようになったカンナくずをはり付けた造形による歌手兼ダンサーを配列し、いずれも動きがあり、手の込んだていねいな仕事が成されています。アップテンポの音楽が聞こえてきそうな楽しい作品です。それだけに、もうひと工夫、どこかに動く仕組みがあれば申し分なかったのですが。
彫刻家 磯尾 隆司

準グランプリ

作品名 / くるくるかたつむり
氏名 / 板垣 匡哉(東京都立工芸高等学校 3年生)

【作者コメント】
 かたつむりのなめらかでゆっくりとしている感じをイメージしながら、製作しました。
 また、割れている所や節はあえて手を加えず、自然に生きるかたつむりを表現しました。殻の部分は丸太でできていて、表面を削ったり中をくりぬく作業が大変でした。

【講評】
 木の素材を生かした素朴でかわいい存在感のあるかたつむりです。殻の中が回転し、デザインも工夫されボールも動くことによって、かたつむりの表現がより豊かになっている。このアイデアがすばらしい。
 また回転軸が見えなくて、ブレのない滑らかな回転をする加工技術は高い。そして、丸太で殻を作り、その中を切り抜く作業は大変だったはずですが、そんな苦労を感じさせない爽やかな作品となっています。
前西宮市中学校校長 岡本 悦司

優秀賞

   丹波市長賞  あにまるトレイン☆ 後藤 愛実(愛知県立起工業高等学校 2年生)
   丹波市議会議長賞  花がらのトレイ 若森 みずほ(丹波市立崇広小学校 5年生)
   丹波市教育長賞  犬のおやこ 藤原 陽輝(丹波市立春日部小学校 3年生)

特別賞

  三木工業協同組合理事長賞 アニマルはんこかけ 木下 凜々(東京都立工芸高等学校 3年生)

佳作

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  じょうろのおふね 横田 瞳(愛知県立起工業高等学校 2年生)
  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  ミニオンハウス 宮﨑 奏(丹波市立中央小学校 3年生)
  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  どうぶつぺけぺけ 尾関 一馬、深田 幸菜(名古屋市立工芸高等学校 2年生)

学校賞

  (公財)兵庫丹波の森協会理事長賞  鳥取県日野町立根雨小学校

館長賞

  兵庫県立丹波年輪の里館長賞  十二支リレー 河野 舞心(羽島市立中島中学校 2年生)


出展校数:19校 / 出展作品数:165点(201名)


審査員

  【審査委員長】 彫刻家  磯尾 隆司
  前西宮市中学校校長  岡本 悦司 
  玩具作家  濱田 昭文