第34回受賞作品 [ジュニアの部]

審査総評

 コロナ禍は今年も収まることなく続いており、夏には緊急事態宣言が兵庫県を含む21都道府県に発出され、外出の自粛や3密の回避などが呼びかけられ、多くのイベントが中止されました。
 生活環境が大きく変わってしまい、今までのように作品を制作するのが難しかったのでしょうか、今回の出展数は75点で例年に比べてかなり少なくなりました。また、スケールの大きな作品は少数で、こじんまりとまとめられた作品が多かったように思います。
審査員にとって、拮抗した作品の中からより優れた作品を見出だすのは難しい作業でしたが、作品を通して作者それぞれのアイディアや表現力、遊び心が見えてくるのでとても楽しい作業でもありました。
 本来、子どもたちは自然の中での遊びや人とのふれあいを通して様々なことを学んでいくものだと思います。しかし、このコロナ禍でその機会が少なくなり、バーチャルの中での遊びが更に多くなってしまったように思います。
 「丹波の森ウッドクラフト展」は、眠っている可能性を目覚めさせてくれる場所でもあります。今後も子供たちが環境の変化に飲み込まれることなく、独創性や遊び心あふれる作品を作り続けてくれることを願っています。

玩具作家 濱田 昭文

グランプリ

作品名 / ようせいのロケット工場
氏名 / 大森 春菜(丹波市立南小学校 5年生)

【作者コメント】
 柱が倒れないように立てるのに苦労した。小さな人形をたくさん作れて楽しかった。

【講評】
 3回連続のグランプリ受賞、お見事と言うより他ありません。発想の豊かさ、スケールの大きさ、細かくていねいな仕事など、すべてにおいて群を抜いていました。完成まで3か月かかったそうですが、考え考え、楽しみながらコツコツと積み上げて作ったのだと思います。大きな自然木から細かいビーズ玉まで、多種多様な素材を部分ごとに的確に使い分け、まるで本物の工場にいるような不思議な気分になりました。
彫刻家 磯尾 隆司

準グランプリ

作品名 / 木ャメラ
氏名 / 渡辺 那智子(東京都立工芸高等学校 3年生)

【作者コメント】
 木に触れる楽しさと、レンズを覗いて見える景色をシェアしたくなる、そんな木のカメラを製作した。シャッターボタンやダイヤルといったギミックに、素材を活かしたカラーリングなど、妥協することなく夢を詰めた。レンズは3種類、付け替えて楽しめる。それだけではなく、ピントを合わせるようにして、少しずつ回してレンズの向きを調節できるようにした。このために施したネジ切り加工は難しく大苦戦したが、手作りならではの味も出て、より愛着が湧いた。ワクワクしながら、とても楽しく製作できた!

【講評】
 数種類の木を使ったことで全体的に色のバランスが良くなり、見た目にも美しくまとまった作品に仕上がっています。
 また、3種類のレンズを付け替え出来るところがこの作品のポイントであり、レンズによって見え方が変わるところやレンズを回すときのリアリティに楽しさを感じます。なお、このレンズには技術的に難しいネジ切り加工が施されていますが、ひるむことなくワクワク感を持ってチャレンジしているところが素晴らしく最大の評価点になりました。
玩具作家 濱田 昭文

優秀賞

  丹波市長賞  動物のジュエリーボックス  山本 芽生(丹波市立春日部小学校 5年生)

  丹波市議会議長賞  木の車  梶原 成果(丹波市立崇広小学校 3年生)

  丹波市教育長賞  剣士ロボット  井本 桐伍(丹波市立崇広小学校 1年生)

特別賞

  三木工業協同組合理事長賞  机  安田 愛叶(丹波市立西小学校 6年生)

佳作

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  ブックスタンド  宝子 里桜(丹波市立西小学校 5年生)

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  ピンボール  福田 十也(東京都立工芸高等学校 3年生)

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  木のカレンダー  井上 遥仁(丹波市立黒井小学校 3年生)

学校賞

  (公財)兵庫丹波の森協会理事長賞  東京都立工芸高等高校

学校賞

  兵庫県立丹波年輪の里館長賞  ウッドシアター  臼井 一晟、片山 遥花(兵庫県立氷上西高校 2、3年生)


出展校数:12校 / 出展作品数:75点(75名)


審査員

  【審査委員長】 彫刻家  磯尾 隆司
  前西宮市中学校校長  岡本 悦司 
  玩具作家  濱田 昭文