第36回受賞作品 [ジュニアの部]

審査総評

今回の応募作品について、審査員の間で話題に上った3つの点をお伝えします。

1つ目は、素材についてです。木以外の材料を使った作品が少なからずありました。これがすべて木で出来ていれば入賞したであろう作品もありました。どうしても木では作れないという部分以外は出来る限り木を使って下さい。

2つ目は、動く仕組みを利用した作品が少なかった事です。高学年になるほど、カムや歯車の勉強をしていただき、丈夫で壊れにくい独創的はおもちゃを考えて下さい。

3つ目はキットについてです。説明書通り組み立てだけではプラモデルと同じなのでオリジナル作品とは言えません。どこかに自分なりの工夫を加えて、独自性のある作品にしてもらいたいと思います。

AIやロボットを利用すれば何でも出来る時代ですが、頭で考え、手や道具を使って絵を描いたり、ものを作ったりする事は、本能に近いものがあり、人間の心を豊かにするため必要不可欠な要素の1つだと思います。楽しみながらもの作りを続けていただく事を願っています。

彫刻家 磯尾 隆司

グランプリ

グランプリ(文部科学大臣賞)
受賞者 大森 春菜(丹波市立氷上中学校2年生)
作品名 恐怖!?探検隊と崖の上の古城

【作者コメント】
 今回、探検隊が挑むのは崖の上の古城。探検隊の運命とは…

〇あらすじ

場所は中世ヨーロッパの古城。現在、探検隊が調査中。車の中に資料もある。

廃墟となり幽霊が出現するという、うわさがある古城に探検隊が出動。

幽霊やドラキュラ、ゾンビに遭遇した探検隊は…

〇今年の挑戦

今年は磁石を使ったからくりに挑戦しました。人形を動かすアイデアを考えて、うまくいかない所は父に教えてもらい、試作品で練習してから作りました。

【 審査講評】
 探検シリーズ第2弾、中世のヨーロッパの古城を探検するというテーマになっています。この廃墟になった古城には、幽霊等が出現するといううわさ通り、幽霊やドラキュラなどを再現し、物語を創っています。この古城は小さなパーツを丁寧に積み上げ、圧倒的なスケール感があります。そして、1F、2Fが見えるように工夫をした仕掛けもあり、よく考えて細かなパーツをいろんな所に散りばめてあります。

 また古城の前の庭には、磁石を使用して人形や石などを動くように配置し、新たな挑戦にチャレンジしているので、まだまだ夢がひろがっていく楽しみもあります。

 この全体のスケールの大きさに圧倒され、素晴らしい作品ですが、シンプルに計画し製作するのもいいかもしれません。

元西宮市中学校校長 岡本悦司

準グランプリ

準グランプリ(兵庫県知事賞)
作品名 ハンバーガーをつくろう! 
受賞者 前田 紬(東京都立工芸高等学校 3年生)

【作者コメント】

素材の色を活かしたおもちゃにするため、具材に合う材を探すことがとても楽しかったです。

丸みを帯びたパーツが多かったため、やすりがけに時間がかかり大変でしたが、手触りが良くなり満足のいく作品が出来ました。 バーガーだけでなく、全体のテイストに合ったボックスも作ることが出来、実際に遊ぶ様子が想像出来ました。子ども達がこの作品で楽しく遊んでくれたら嬉しいです。

【 審査講評】

この作品は素材の色や模様がうまく活かされており、ハンバーガーの具材がリアルに表現されています。数ある木材の中から、具材に合ったものを探し出すのは大変な作業で時間を費やしたと思われますが、それを楽しみながら行っているところにも意欲的に取り組んだことがうかがえます。

また、加工の難しい曲線部分も滑らかで綺麗に仕上がっていますし、数種類の木を適所に使ったことで全体的に色のバランスが良くなり、ハンバーガーも美味しそうに見えて思わず手に取って食べてみたくなりました。

玩具作家 濱田 昭文

準グランプリ

準グランプリ(兵庫県知事賞)
作品名 せんとうき 
受賞者 井本 桐伍(丹波市立崇広小学校 4年生)

【作者コメント】
 バランスをとるのがむずかしかった。

【審査講評】
角材と板をうまく組み合わせてかっこいい戦闘機になりました。作者のコメント通り、左右のバランスもよくとれています。

黒を基調とした着色も軽く見える板に重厚感を与えています。

素材を切って貼り付けただけで、ほとんど加工をしておらず、着色もむらがありますが、それが逆に小学生らしく素朴でオリジナリティがあふれる秀作です。

彫刻家 磯尾 隆司

優秀賞

  丹波市長賞 ふるーつばらんす  塚中 柚葉、土屋 晶穂、山口 杏望(名古屋市立工芸高等学校 3年生)

  丹波市議会議長賞 ウッドラプトル  升川 旺祐(西宮市立津門小学校 3年生)

  丹波市教育長賞 どうぶつえん  畑中 翠妃(丹波市立黒井小学校 1年生)

特別賞

  三木工業協同組合理事長賞 ピッツァトランプ  荒川 笑奈(東京都立工芸高等学校 3年生)

佳作

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 イス 植木 瑠生(丹波市立黒井小学校 5年生)

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  swing  添野 麗桜(東京都立工芸高等学校 3年生)

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 森のゆうびんきょく 河南 碧心(丹波市立崇広小学校 2年生)

学校賞

  (公財)兵庫丹波の森協会理事長賞  丹波市立黒井小学校

館長賞

  兵庫県立丹波年輪の里館長賞  WOODEN RECORD PLAYER  池邉 朋子(東京都立工芸高等学校 3年生)


出展校数:20校/出展作品数:111点(123名)


審査員

【審査委員長】 磯尾 隆司(彫刻家)

       岡本 悦司(前西宮市中学校校長)

       濱田 昭文(玩具作家)