第14回受賞作品 [ジュニアの部]

審査総評

 今年の丹波の森のジュニア部門には、510点もの作品が寄せられました。皆さんのそれぞれの個性を発揮した楽しい作品に触れると、多くの若い人たちが自分自身の個性を伸ばそうとして努力されていることを感じ、大変心強く思います。
 今年の作品では、グループによる製作に優れたものが見られました。個性と協調性が要求されるこうした作業では、指導された先生の陰の力がたいへん大きかったと思われます。また個人作品でも、周りの人たちのアドバイスに励まされて完成に至った例も少なくないと思います。このジュニア部門では、単に作品の良し悪しだけでなく、モノづくりを通して子どもたちが自主性・創造性・計画性などの力を伸ばすことが大切だと考えています。健やかに伸びようとする子どもたちを、あたたかい目で見守っていただいた方々に深く感謝いたします。

 また来年も楽しい作品がたくさん寄せられることを期待しています。

実行委員長・ジュニア部門審査員長 日野 永一
(兵庫教育大学名誉教授)

グランプリ

作品名 / WOODY-CHAINS
氏名 / 大阪府立北野高等学校1年美術選択生

【作者コメント】
 3×3×30センチの角材(桂)から、「鎖を彫り出す」という授業作品の31点です。

 できるだけ電動工具に頼らないで (1)道具の原点、刃物を使えるようになろう (2)木(自然)の性質と奥深い魅力を、手と眼を通して体験しようという目標でした。

 予想どおり、切り出し刀や彫刻刀の工程で負傷者が続出・‥。

 しかし男女とも負けず嫌いの生徒たちは、幾多の困難にめげず最後は意地になってよく仕上げました。

 木のもつ美しさ、やさしさや手強さ、道具の扱いの大切さなど多くを学びました。

【講評】
 3×3×30センチの角材から、鎖状の形を彫る授業作品の31点で、学生は電動工具に頼らず、出品時吊り下げられる条件以外、連携の必要は無く、自由に発想し制作する。15才の美術指向学生の創作した作品群は奔放で想像以上のオブジェを創出しました。展示の為に集合し羅列した作品は見る者を圧倒します。教室での競作は、曲線形や螺旋形等の難しい作業に意欲的に挑戦し、能力以上の成果を発揮しています。怪我の発生を恐れず企画された先生の冒険心にも敬意を表します。

大野 巳善男(造形デザイナー)

準グランプリ

作品名 / 森の交響楽団 (~ORCHESTRA in the forest~)
氏名 / 京都府 亀岡市立別院中学校2年 27名

【作者コメント】
 私達の学校では「ふるさと学習」として、地域の自然や人に学び、地域へ発信する総合的な学習に取り組んでいます。地元、別院町の豊かな自然を体感し、自然と共生することをめざして、春は山菜採集、秋は自然木を使った創作活動をして、自然との対話を楽しんでいます。
 この作品は昨年私達が1年生の時の美術の時間に全員(27人)で制作しました。分担して一人2体の人形を作り、それを1つにまとめてできた「森の交響楽団」です。
 どこからかステキな音楽が聴こえてきそうでしょ…。

【講評】
 楽器の音色がさまざまなように、一人ひとりの顔やしぐさの表現にも個性が感じられ、それらが丸太のステージの上でまさにシンフォニーを奏でています。共同制作のモチーフにオーケストラはぴったりでしたね。指揮者の人形には指導する先生の姿が重なります。その側にはコオロギ?でしょうか、こんな小さな点景からも自然との共生の思いが伝わってきます。これからも総合的学習の作品成果を地域を越えて広く発信してほしいものです。

水上 喜行(大阪教育大学教授)

優秀賞

    ありんこ ザ ワールド  陣在 勇磨 兵庫県 浜坂町立浜坂小学校4年
    せみの家  大藤 隆正 兵庫県福崎町立福崎小学校5年
    ハニーランド  小八重 育子 宮崎県立佐土原高等学校3年

奨励賞

  竹のおもちゃ  清水 信吾 兵庫県 氷上町立西小学校6年  
  いろいろありマス  兵庫県 西宮市立瓦木中学校 美術部 
  木琴  中島 拓飛 兵庫県 芦屋市立山手小学校3年  
  House  足立 了亮・鳥倉 拓真・能勢 康史 兵庫県 柏原町立柏原中学校2年 
  ベンチ  松川 慎平・平井 佑馬・山中 翼・滝宮 克也 大阪府 美原町立美原中学校3年  
  動物たちのワールド  山下 藍子・細川 可奈子 京都府 京都市立嵯峨中学校1年

アイディア賞

  (85点の作品に) 兵庫県 三田市立すずかけ台小学校


審査員

    【Jr.審査員長】兵庫教育大学名誉教授  日野 永一
    造形デザイナー  大野 巳喜男
    日本玩具博物館長  井上 重義
    東北工業大学客員研究員  山崎 純子
    大阪教育大学教授  水上 喜行
    木工芸家  奥田 実