第16回受賞作品 [ジュニアの部]
審査総評
一つ一つの作品が寄り添い響き合う
もともと子どもの作るクラフトは、自分自身の現実生活を基にして機能性や装飾性をイメージしているので、どれも個性的な味わいや輝きを発揮するものです。けれども出品グループ別に展示されているのを見ると、それぞれが個々の作品表情をもっているのに、 もう一つの堂々とした風格のようなものが、作品群の魅力を形成しています。一つ一つの作品が仲間の作品に寄り添い響き合っているのです。
たとえば準グランプリの「シェルタネット」はまるで合奏の響きが聴こえてくるようですし、特別賞の「トーテムポール」群は華やかな演劇舞台を観ているような気分になります。これが学校制作の不思議さであり楽しさで、ジュニアの部ならではの魅力的なクラフト特性と言えるかも知れません。個別制作なのにどこか似てしまうと言う側面があるにせよ、それぞれのテーマや制作感情をいっそう深めることで解決できると考えられます。。
しかし何よりも有り難いのは授業時間不足で芸術教育が困難になっているとき、木工クラフトにチャレンジする意欲を向き合い励まし合う仲間が支え合っていることです。寄り添い響き合う木工クラフトの教育実践は、人間関係が問われている現代教育に貴重な一石を投じると期待できます。
ジュニアの部審査委員長 寺内 定夫
(玩具デザイナー)
グランプリ
作品名 / Wood cards
氏名 / 辺見 あゆ美 (東京都立工芸高等学校3年)
【作者コメント】
実用性より見栄えを意識して作りました。Card一枚一枚にタモ・突板・チークなど色々な色の木を使い、木の美しさを見せることを目指しました。Cardのマークは一枚一枚糸鋸で色違いの木を重ね、きり抜いてはめこみ、マークがみえないように裏側に突板を貼っています。トランプとしてだけでなく、凹型のジョイントとしてブロックとして遊べる様になっています。なぜ、このWood cardsをつくろうと思ったかというと、この54枚という大量的な枚数をこなすことで自分の根気を確かめたかったからです。それと、糸鋸を作った木製品に興味があったからです。
【講評】
54枚ものカードを一枚一枚糸鋸で切り抜き、それに質感の違った材料をはめ込む作業は繊細で根気のいる大変な作業です。学校で基礎的な技術を身に付け、道具も揃っているから挑戦できたのではないかと思いますが、それにしても大変な努力です。カード遊びだけではなく組み立てて遊ぶという着想もユニークです。デザイン力、技能も優れ、審査員全員の推挙の賞でした。おめでとう。努力が大きな成果につながりましたね。
井上 重義(日本玩具博物館長)
準グランプリ
作品名 / SHELLTANET(シェルタネット)
氏名 / 修徳学院第7寮 寮生一同 (大阪府立修徳学院 小学6~中学3年)
【作者コメント】
カスタネットは、二枚貝の形によく似ています。それならば、いろんな形の貝をカスタネットにしてしまおうと思いました。木の木目模様が貝殻の模様のようにみえます。良い音を出すために、かたいサクラの木を使ったのですが、糸のこで切るのに苦労しました。刃を何本も折ってしましました。これまで知らなかった、いろいろな種類の貝があるという勉強になりました。作品名は貝のカスタネットという意味で、SHELLTANETと名づけました。
【講評】
貝の殻をアイデアとした美しい作品群です。扁平な板から、非常に丁寧に作られており、触ったときに、しっくりと手に馴染む感覚が心地よい作品です。作った方々は自分の手で、形や大きさ、そして木のぬくもりをそれぞれしっかりと確かめながら作られたのではないでしょうか。また、一つひとつの形や木目・色のユニークさから、たくさん並べることにより、豊かなリズムが感じられる作品となりました。
大前 勝彦(三田市立中学校美術部会員)
優秀賞
柏原町長賞 木のフランスパン 香寺町立香呂南小学校(6年) 原田 明佳利
柏原町長賞 妹の色々小物入れ 茅ケ崎市立円蔵中学校(1年) 渋谷 圭祐
柏原町長賞 Beetle of wood 寒川町立寒川東中学校(2年) 諏訪 勇
奨励賞
丹波の森協会理事長賞 はんこ 三田市すずかけ台小学校(5年) 西村 美紗
丹波の森協会理事長賞 Funky タウン 四條畷学園小学校(3~6年) デコボコ工作隊
兵庫県芸術文化協会理事長賞 ふくろうのはりえ 三田市すずかけ台小学校(2年) かたしば はじめ
兵庫県芸術文化協会理事長賞 森の音楽隊 篠山市立城南小学校(6年) 畑 佑磨
兵庫県勤労福祉協会理事長賞 ほうき笛 神戸市立神戸工業高等学校(3年) 河田 詩織
兵庫県勤労福祉協会理事長賞 woo-童話 東京都立工芸高等学校(3年) 野田 亜友美
アイディア賞
氷上町長賞 お父さんの顔で遊ぼ! 篠山市立西紀南小学校(3年) 奥田 更紗
青垣町長賞 仲良し4人組 東京都立工芸高等学校(3年) 北嶋 悠史
春日町長賞 トラック 三田市すずかけ台小学校(5年) 工藤 雅之
山南町長賞 ぼくのかいじゅう 大河内町立寺前小学校(4年) 中正 隆介
市島町長賞 二人三脚迷路 東京都立工芸高等学校(3年) 柳澤 小百合
特別賞
丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 (計14点) 茅ケ崎市立円蔵中学校出展者一同
丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞 トーテムポール(8点) 神戸市立南五葉小学校出展者一同
出展作品数は495点、出展校数は35校
審査員
【審査委員長】玩具デザイナー 寺内 定夫
彫刻家 礒尾 隆司
日本玩具博物館長 井上 重義
三田市中学校美術部会員 大前 勝彦
柏原町立新井小学校校長 中村 富美代