第29回受賞作品 [一般の部]

審査総評

 今回の公募展は、昨年より応募総数はやや減少しましたが、完成度の高いユニークな作品が多く出展され、楽しい審査会でした。「多角形」というテーマはちょっと難しかったかもしれません。しかし、このテーマだからこそ生まれた作品が目を引きました。グランプリ作品は審査員全員が同意した、文字通り多角形をテーマにしたからこそ創造された完成度の高い楽しい作品です。テーマを設定するということは、アイデアを生み出しやすくしたり、そのテーマに挑戦するという大きな意義がありますが、今回はそれがよく作品に表れたように思われます。来年度は、本公募展が30周年を迎えます。世界広しと言えども、玩具の公募展で30年続いた催しは本公募展以外にはありません。玩具作家を目指す方々の登竜門でもあります。また、玩具づくりを楽しむ姿勢の全ての応募作品も作品集に掲載しています。このように、玩具を愛する全ての方々に開かれた玩具公募展です。ぜひ、来年度のテーマである「30」を自由に解釈して、すてきな作品をつくり応募していただきたいと思います。

名古屋女子大学教授 渋谷 寿

グランプリ

作品名 / 多角形の夢
氏名 / 久保 進(東京都世田谷区)
使用樹種 / メープル、ひのき、ブナ

【作者コメント】
ハンドルをゆっくりと回します。
ベルトにのった多角形のオブジェは、コーナーにくるとパラパラと分かれます。
オブジェの中には多角形のもっている、それぞれの「夢」が入っています。

【講評】
 作者はこれまで、取っ手を回すとベルト状の帯の上のさまざまな形が、回転してゆく一種のからくりおもちゃを、毎年のように出展してきた。今回は多角形というテーマを与えられ、みごとに具現化した。これまでの出展作品の中で、もっともシンプルに、美しく。

 四つの多角形の箱の開き方は、まさに夢が開くような動きを見せる。木地仕上げの中でカラーのオブジェが花開くような見せ方、すばらしい発想を思いついたものである。

組み木デザイナー 小黒 三郎

準グランプリ

作品名 / アクロバチック 組み木
氏名 / 濱田 昭文(兵庫県美方郡)
使用樹種 / シナ、ウォルナット、マカンバ、カエデ

【作者コメント】
 台の上から組み木を落とすと、それぞれクルクル回ったり、ユラユラ揺れたりアクロバチックな動きをしながら降りてきて下で組み合わさります。
最初にどのような動きをするのかを予想してから遊んでほしいと思います。

【講評】
 ユニークな動きで動物が下降する玩具です。左右に体を動かしながら下降する玩具は既にありますが、この作品の動物たちの動きはアクロバティックで驚かされます。一つは、下降途中で何回かひっくり返ります。もう一つは、一回転はしませんが、回転しそうで逆戻りし、左右に体を不規則に動かしながら降下します。降下する道は複雑なカーブですが、そのカーブも美しく見事な仕上がりです。多くの試行錯誤の成果が現れている力作です。

名古屋女子大学教授 渋谷 寿

優秀賞

   丹波市長賞  多角形造形積み樹遊び  川原 眞(愛知県日進市)
   丹波市議会議長賞  つないで遊ぶオートマタ  河邊 明(茨城県守谷市)
   丹波市教育長賞  science toy「三角タイヤのおむすびカー」  矢野 憲司(長野県松本市)

新人賞

  (公財)兵庫丹波の森協会理事長賞  たいやきやさん  荘所 仁(兵庫県高砂市)

特別賞

  三木工業協同組合理事長賞  ぱらぱらたいこ 丹野 雅景・ゆり(北海道旭川市)

佳作

  丹波の森ウッドクラフト展実行委員長賞  ビー玉とばせてドレミファソ  大森 栄司(兵庫県丹波市)
  丹波の森ウッドクラフト展 実行委員長賞  わぁ~ビックリした!!  好 茂、昌子(兵庫県三田市)
  丹波の森ウッドクラフト展 実行委員長賞  ごつごつ・つみき  井上 勝(京都府綾部市)

学生賞

丹波市製材協会賞  迷路パズル 國分 慶縁(金沢科学技術専門学校 家具クラフト学科)


出展作品数は79点(内テーマ作品数は29点)、出展数は75名


審査員

  【審査委員長】 小黒 三郎 組み木デザイナー
    渋谷 寿  名古屋女子大学教授
    日野 永一  兵庫教育大学名誉教授